脆弱

2019.12.25

脆弱:物や出来事が弱々しく、
脆い(もろい)状態を意味している。
どちらの漢字も儚さのニュアンスを持ち、
字面からは今にも壊れそうな様子が感じられる。

LYRIC

脆弱

「おはよう、世界」
どんな朝だろう 蒼すぎた飛行雲
きらきら 零れて
海の底で揺れる
影に触れる

溢れ出せない泪を彷徨って
呼びかけている

此処にいるよ
何処かじゃない
此処に

星に願ったりして
でも、それじゃ脆い
まだ飛べなくて
空は余りにも空で

君と出逢った光の中で
迷子になったよ
届かない夜空の行方を
見つめていた

息を切らした目が
風を走る波に見惚れた耳が
夢に靡く髪が
未だに、こんなに
ねぇ、僕を動かしている

かけがえのない命の後先を想って
線を越える
派手に行くよ
まだ知らない飛沫が
飛び散る

手を伸ばしたりして
でも、それじゃ弱い
君に触れたくて
海を脱ぎ捨てて、命が跳ねる

迷子になって初めて
自由になれた気がしたよ
僕にしか消せない
蝋燭がまだ燃えてるから

悲しみが口を開けて
すべてがもう嫌になって
失くしたモノばっか光ってるけど
きっとまた逢えるから
水平線の果てで
海と空が待ち合せるように

手を繋いだりして
多分、それは強い
君と飛びたくて
君の影とまだ泳いでいくよ

愛し続けるから
誰に何を言われようとも
何一つ持たずにすべてを
抱きしめて

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COLUMN

弱さってなんだろう?強さってなんだろう?
人はそれぞれの事情を抱えながら、平然と歩き続けようとする。
ふと立ち止まった時に、戸惑いと恐怖を感じる。交差点の真ん中に立ち、次から次へと放射状に、ぐちゃぐちゃに入り乱れる運命が、僕を迷子にさせた。

空を見上げる。深く暗い海底に沈む鯨が、輝く水面に映る飛行船の影を追うように。僕は飛び立って、ここを見下ろしたいと願った。でも、羽はない。どうやってここに来たのか、どこへ行くのか、いつの間にか忘れた。忘れたことすら忘れていた。花のように綺麗になれないし、春のように優しくもなれない。

どの運命についていっても自分は永遠に自分で、手を伸ばしても、その光は消える。あまりに、脆く、弱い。

空はずっと青いまま、僕らを見下ろしている。すると次第に理解し始める。欲しいのは羽じゃなく、この世界を受け入れる勇気だ。きっと僕らは迷子じゃなかった。

僕らは可能性で、「自由」だった。強さとは、弱さを捨てる事ではなく、弱さを受け入れる事だった。届かないからこそ、儚いからこそ、手を取り合って進む、自由と勇気の強さを知っていた。

何も持たないけどすべてを抱きしめていく。意志を伝え合い、手を取りあって、一緒に進んでいこう。誰に何言われようとも。今、命が跳ねる。

【制作過程】

2019年1月
2nd Album 「SIDE CAR」の構想が固まりかけていた頃、全7曲でリリースする予定でした。
年始に故郷の街を一人で歩いていたときに、懐かしさと共に新しい年の始まりと言う高揚感、この二つを感じながら
メロディが頭に湧いてきたのが脆弱のサビのメロディでした。
Payaoの中で一番力強く、華やかなメロディを是非SIDE CARの主役にしたい、そう思い大急ぎで作り上げることに決めました。

2019年4〜6月
歌詞にとても時間がかかった本曲。4月から6月までの間、ほとんどをこの曲の作詞に時間をかけていました。
テーマは「人の強さと弱さ」、強い心とはなんだろう、弱さってなんだろう、そしてこの曲は何を聞いた人に伝えていけばいいんだろう、そんなことをグルグルを悩みながら何度もやり直しをしていきます。
そして、鯨が飛行船に憧れて、海を飛び出していく。そんなモチーフが浮かんでからは1週間で書き上げることができました。

2019年8月

上原翔さんとレコーディング

2019年9月
上原翔さんによるMIX完了

2019年12月

SIDE CARの第一弾リード曲として発表。

FAMILY この作品に関わった方々

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