四季折々
2018.05.29
過去でも未来でもない、今のこの瞬間、刹那を生きる。
その儚さあるが故に、花は美しく、力強く咲き誇る。
人の人生も、そうであって欲しいという願いを込めています。
LYRIC
四季折々
過ぎて、薄らに解けた甘い砂糖
手と手 取り合えた日が馳せる残り香も
「君を愛してる」 色褪せた言葉
見えないけど消えた 夢の最中
降り積もる雪のひとひら
掬って閉じ込めて 僕のものにして
止まらない刻の海に溶ける魔法
想い出は泣きながら
追いかけてくる街 追い越してく夢
立ち止まって春を待つ蕾のように
永遠を埋める1秒の連なりが
僕の愛する人を殺したとしても
泳いでく 流れ星 映る
消えてくから消せない 胸の水面
冬は夏の歌を知らない
夏は冬の歌を知らないままで
振り返ることなく 故に奇麗さ、と
散ることを知りながら
咲くことを恐れない
フワリと今が風に乗って
春に舞う花びらのように
飛び立つ鷺の群れ
夕日
人気のないメリーゴーランド
過ぎてくけど
消えない模様
今 この手の中
舞い踊る花のひとひら
かざした手を避けて頬をかすめてく
還らない熱と繰り返す野望
散ることを知りながら
咲くことを恐れない
ユラリと今が風と踊って
春に舞う花びらのように
COLUMN
四季折々:春夏秋冬のその時その時。四季それぞれがもつ情趣や産物などについて用いられることが多い。
小さい頃から、死ぬのが怖かった。
夜、布団の中に入ってから死のことを思うと、発作のように苦しくなって眠れなくなることもあった。なぜ人は死ぬんだろう?勿論人だけじゃなくて、木々も花も、当たり前のように咲き、そして当たり前のように枯れては次の生命に命を繋げていくことが、不思議で怖かった。
日本には四季がある。毎年3月下旬に目黒川の満開の桜を楽しみにしてる。桜の花の命は短く、一週間も持たない、雨が降れば数日で散ってしまう。散りかけの桜には既に若葉が生えてきていて、夏の深緑へ準備を進めている。当前だけど、花は過去を悔いたり、未来に憧れたりしない。今だけのために美しい花を咲かせ、その役割を終えたら潔く散った。「今を生きる」なんて言葉はありきたりだけど、咲き散る桜を見て、死を恐れず迷うことなく「今」を生きているものは綺麗なんだ、そう感じたことが確かにあった。
冬は夏の歌を知らない、夏も冬の歌を知らない、
でも尊重しあって、お互いの野望を繰り返す。
自分達は今花を咲かせているだろうか、
他の季節の事ばかり考えて、
今をないがしろにしてしまっていないだろうか。
いつか出逢う子供たちに、潔くバトンを渡せるほど美しく散ることができるだろうか。
この人生を大切にするために、今、この刹那を力強く生きていきたい。
そんな願いを込めて制作しました。
【制作過程】
2016年 1月
東京 芝公園あたりをサイクリングしていた際に、サビのメロディが浮かびメモする。当初サビの頭の歌詞が「交差点の向こうから〜」という日常的な歌詞だったので、編曲はアコギの弾き語りバラードの曲をイメージしていた。
2016年3月
椎名林檎の「長く短い祭」に当時はまっており、和をモチーフに飛び跳ねることもできるリズム、だけど切ない、「長く短い祭」の冬バージョンにしたような曲を書けないかと思い、当初のアコギ路線から一気にリズムを組み替えAメロ・Bメロを作成。
万華鏡のような幻想的なイメージを作るために、コード進行はかなりこだわった。特にサビは細かくスケールアウトした音を差し込んでいる。完成しJimuno.kに編曲を依頼。
作詞に関してはこの頃に特に音と言葉のリズムを大切に作成した。井上陽水の「少年時代」が割と意味のない造語(風あざみ、とか)が入りながらも終始日本人を懐かしい感覚に陥らせてるツボをついていて、真似をしたいなと思い、「薄らに溶けた甘い砂糖」「手と手、取り合えた日が馳せる残り香」等、感覚的に言葉を選んで差し込んだ歌詞が特徴的。感覚的に作ったので完成もはやく、1週間ほどで9割がたの歌詞が完成。
2016年5月
Jimuno.kにコンセプトや全体の世界観をうまく汲み取ってもらい、アレンジが完成。印象に残るイントロ・アウトロの音作りが素晴らしく、ほぼ一発でリテイクなしで完了。私が原曲から拘っていたのはCメロから大サビまでの間で季節が移り変わっていくようなコード進行を表現した部分、ここも上手く作り込めて大満足。
2016年6月
名古屋のスタジオでレコーディング。
2016年7月
上原さんにミックス・マスタリング依頼。
Pororocaでお互いの好みが把握できていたので、ほとんどリテイクなしで完了。
2018年4月
Pororocaに次いで、 Payaoの世界観をよく表現できている曲ということで、MVを作成することに決定。
詳細は後述します。MVの発表は2018年10月頃を予定。
2018年5月30日
Payao 2nd singleとして配信開始。